レオナルド・ダ・ヴィンチのチョーク画「聖母の頭部」

「モナ・リサ」や「最後の晩餐」などの、超有名作品で知られるレオナルド・ダ・ヴィンチ。作品の多くは、ヨーロッパにあるためか、ニューヨークの美術館で、ダ・ヴィンチ作品が見られる機会は、なかなかありません。メトロポリタン美術館は、いくつか、ダ・ヴィンチの、紙の上に描かれた絵を所有しているのですが、劣化を避けるため、常時は展示されていません。というわけで、ダ・ヴィンチが一点でも、ニューヨークで見れる際には、美術館は大きくホームページに掲載します。先日、メトロポリタンのサイトを開いたところ、没500年を記念して、ダ・ヴィンチ作品数点が、展示されているというので、早速、見に行ってきました。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「ヴァージンの頭部」チョーク、チャコール/Leonardo da Vinci "The Head of the Virgin in Three-Quarter View "

レオナルド・ダ・ヴィンチ「聖母の頭部」チョーク、チャコール/Leonardo da Vinci “The Head of the Virgin in Three-Quarter View ” (Red Chalk, Black Chalk, Charcoal)

ダ・ヴィンチのスフマート

この作品は、画集で見たこともあり、練習のために模写したこともあったのですが、実際に見てみると、とても繊細な雰囲気のある作品なのです。これは、『スフマート』という、ダ・ヴィンチならではの、「ぼかし」のテクニックが活きているのです。スフマート(sfumato)というのは、イタリア語の煙(fumo)から来ており、「モナ・リサ」でも使われているテクニックです。

スフマートは、影の部分から、光があったっている部分に向かってのグラデーションを付ける際に、境目をなくすために「ぼかし」て、煙のように見せるテクニックです。ダ・ヴィンチは、光の辺り方を科学的に考察、スフマートで、より写実的な効果を出すことが出来ると、考えたようです。英語版のウィキペディア、スフマートのページによると、これは視覚がフォーカスされていないエリアの見え方を、模倣して描くという意図があるとのことです。確かに、目で対象物を見るとき、フォーカスしている部分は、非常に狭いエリアとなります。そのせいか、全体がスモーキーな印象の方が、実際の視覚体験に近いと言えるかもしれません。特に、私は近視で、普段は眼鏡もかけずに外を歩いているので、少しぼんやりした印象の絵だと(絵を見るときには、たいてい眼鏡をかけているわけですが)、普段の見え方に近くなります。

頬の部分から、目にかけてのクローズアップです。スモーキーだけれど、はっきりと目などは描かれているのが、よくわかります。頬の周りの髪の毛も、一本、一本描くというよりは、頬にブレンドされているのですが、髪の毛部分だとは、はっきりわかるように描かれています。

ダ・ヴィンチがアーティストとして名前を後世に残したのは、絵を描く技術があるというだけでなく、革新的な方法を編み出し、作品に取り入れたところにあるのです。

左利きのダ・ヴィンチ

この女性の頭部の絵については、本当にダ・ヴィンチによるものかが、疑われてきた経緯があり、随分、学者の間で論争となってきました。この絵を所蔵するメトロポリタン美術館は、「科学的に見て、この絵はダ・ヴィンチによるものに間違いない」という立場をとっています。ルーブル所蔵のダ・ヴィンチ作品、「聖アンナと聖母子」という油絵に「関連した作品」としています。誰が描いたとしても、ダ・ヴィンチのスフマート的な要素が強い素敵な絵であることに、間違いはないですよね。けれど、ダ・ヴィンチのものであるとなると、価値が全く違ってきます。

ダ・ヴィンチは左利きで、ハッチングという斜めの線を積み上げて影を付ける技術を用いるとき、下の絵のように、右下から左上にむかって、線をひいていました。

レオナルド・ダ・ヴィンチ「男性の頭部」チョーク、ペン、インク/Leonardo da Vinci "The Head of a Man"

レオナルド・ダ・ヴィンチ「男性の頭部」チョーク、ペン、インク/Leonardo da Vinci “The Head of a Man”

右利きの場合、左下から右上に向かってハッチングを行う場合が多いため、この左効きハッチングは、ダ・ヴィンチのトレードマークとも言えます(もちろん、他の左利きのアーティストも用いたのでしょうが)。メトロポリタン美術館の解説によると、この女性の絵でも、、ダ・ヴィンチが「ぼかす」前にハッチングを行っていたことが、肉眼でも確認できるとなっていますけれど、どうでしょう。私には、あまり見えないのですが。

どちらにしても、スフマートは、自分の絵に取り入れて行ける技術なので、早速、今描いているチャコール画で練習してみたいと思います。

というわけで、本日は、レオナルド・ダ・ヴィンチ「聖母の頭部/Leonardo da Vinci “The Head of the Virgin in Three-Quarter View”(1510–1513)についてでした。

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