クロード・モネ 「積みわら(雪と光の効果)」

クロード・モネ「積わら(雪と光の効果)」/Claude Monet Haystacks (Effect of Snow and Sun) (Oil)

モネと日本

「印象、日の出」や「睡蓮」で知られるクロード・モネ。世界中で人気の画家ですが、日本でも好きな人は多いですよね。今年(2018年)、横浜で開かれているモネ展についての記事を読んでいて、「癒される~」と言う記述を発見しました。この「癒され」感が、モネが人気の一大理由かもしません。そういう私も、モネの作品の中では、どちらかというと写実的な作品より、色がよりブレンドして、形が抽象化している作品の方が、見ていて「ほっとする」ので好きと思っています。なので、モネに癒される感じは、ほんとよくわかります。

また、モネが、日本で親しまれている背景には、国内でモネの作品を見れる機会が、かなりあるということもあるでしょう。モネは、江戸時代の浮世絵を収集しており、日本の芸術に興味を持っていたこともあって、日本人の画商との交流があったようです。そういった経緯で、日本で、モネの作品を所有してる美術館は、結構あって、そういう美術館に行けば、常時、モネの作品が見れる状態です。

私も、日本に住んでいたころに、何度かモネの作品を見たことを覚えています。特に覚えているのは、確か京都だったと思いますが、モネの「睡蓮」がいくつかだけ展示してある、小さな美術館に行ったような記憶があります。けれど、このブログを書くにあたってネットなどで検索しても、全然みつけられないのです。もしかしたら閉館したのかしらと思ったり、または、実際には、そんな美術館には行っていず、他の美術館と混同してるだけかと思ったしています。モネの絵には、「睡蓮」をはじめ、連作と言って、同じ主題を描いたものが多いで、いくつも見ているうちに、だんだん、どこで見たかわからなくなって、最後には夢で見たような気分になって来ているのでしょうか。

それにしても、モネの作品(特に「睡蓮」)、日本で見ても、ヨーロッパの物が飾られるという、違和感が、それほどないですよね。これは、日本で人気の、他の西洋画家、例えばゴッホとかピカソなどの作品を、日本で見た時の感じと比べてみると、明らかです。ゴッホとかピカソの絵を見ると、感動みたいなものは同じくありますけれど、「ヨーロッパから来たものを見ている」ことを忘れて見ることは、難しいです。それに比べて、モネの絵は、周囲になじむ感じがあります。私は、モネの作品が、日本の気候とか風土になじみやすい特質があるのではないかと、思っています。けれど、日本の気候と風土といっても、かなり多様で、しかも、私がモネの絵を見たのは、本州の東京から岡山くらいまでの間だけなので、その感覚を、日本全土に広げて、一般化は出来ないかもしれませんが。

というわけで、すっかり、前置きが長くなってしまいました。今日は、メトロポリタン美術館で見れるモネの作品の中で、私が気に入っている絵の一つ「積みわら(雪と光の効果)」について書くつもりだったのです。モネは、1890年から91年にかけて、色々な季節に、自宅近くに積まれてた藁の絵を、なんと30点も描いたのですが、これは雪の後、積まれた藁に日の差している様子を描いたものです。

モネの白

私がこの絵が好きな理由は、白の印象です。メトロポリタン美術館という色があふれた場所で、この絵を見るせいでしょうか、この絵の白は、ひときわ目立ち、光が放たれているように、見えるのです。

モネは、後年、白内障で視力が衰えるともに、より作風が抽象化されたものになりましたが、白内障を患うと、白が黄色に見えるようになるそうなのです。カルガリー大学のサイトによると、実際、モネの後期の絵を分析すると、色彩を見る力の衰えは明白とのことです。つまり、このような雪の日の様子というのは、白内障になる前のモネだったから、描けた風景だということなのでしょう。

雪の日の光景ですので、積まれた藁の部分以外の部分には、ふんだんに白の絵具が使ってあり、白の印象が強い作品ですが、よく見ると、白く見える部分も、白だけけを使っているのではなく、ピンク、オレンジの暖色と、青の寒色が、細かい筆のタッチで、白に重ねられているのです。

そこで、モネの雪の日の、白の描写をよく見てみるために、Photoshopを使って、まず、「積みわら(雪と光の効果)」を、白黒表示にしてみました。

クロード・モネ「積みわら」白黒/Claude Monet "Heystacks" black and white

やはり、白に近く表示される部分が大半です。雪が積もっていると思われる地面だけでなく、背景や空も、白に近いトーンに描かれています。けれど、雪の日を白く仕上げるために、白だけを使っていたのでは、絵が単調になってしまいます。モネは、効果的に、寒色と暖色を白の上に重ねることで、より自然で美しい雪の日を表現しているのです。モネが、どのように、白以外の色を使用しているか見るために、Photoshopでコントラストを強調する機能を使って、この絵を見てみましょう。クロード・モネ「積みわら」コントラスト

ピンクや、オレンジ、青の筆の跡が、はっきり見れると思います。白の上に、重ね塗りで、光のプリズムが、表現されているのです。これが、印象派が、光を描いていると言われる理由でしょう。けれど、光のプリズムを描いていると言っても、けっして、無数の色を使って描いているわけではありません。モネが、限定された色を、繰り返し使用しているので、絵に統一感が生まれているのです。

印象派、光の表現

印象派は、「見たものを、見える通りに描く」自然主義(naturalism)と言います。けれど、雪の後の晴れた日に、雪が積もった畑のようなところを見た場合、この絵のように、ピンクや青色が、雪の上に見えるわけではありません。たいていの場合、雪が積もった部分は、光の濃淡はあっても、白一色に見えると思うことが、多いでしょう。けれど、画家が、雪の表現にピンクやオレンジ、青色を使用する選択をすることで、より雪の光景が、自然に、そして美しく描かれるのです。その意味で、印象派の画家は、「見たものを、見える通りに描く」というよりは、キャンバス上に、「見たままに見えるよう」に、描いていると言えると思います。見たものを、ある程度翻訳して、キャンバス上にアウトプットすることで、美しく、そして自然に見える絵が出来上がるのです。

そのような効果的な翻訳を可能にするためには、「見る」力と、見たものを「表現する」力の両方が必要になってきます。モネは、もちろん画家ですから、表現する技巧と言うものは習得していますけれど、それだけではなく、「見る」力というのも、本当に、普通ではないくらい、すごかったのではないかと思います。たとえば、雪が積もっているのを見た時に、光の温度のようなものが、通常の人たちより見えていたとか。だから、どこに、オレンジの絵具を置けばよいか、青はどこかなど、確信をもって描くことが出来たのかもしれません。

私たちは、モネの見ていた世界というものに、彼の絵を通してアクセスしているわけですが、彼の視覚というのは、もしかしたら、白内障になる前から、一般的な視覚世界とはかなり違っていて、私たちが体験したら、驚くくらいすごかったのではと、思ったりします。

とういうわけで、本日は、クロード・モネ 「積みわら(雪と光の効果)/Claude Monet “Heystacks (Effect of Snow and Sun) 1891 についてでした。

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