桃山時代のハッカチョウ屏風(作者不明)

北斎や広重といった江戸時代の作品を見てから、桃山時代に作成されたものを見ると、「これは、結構古いぞ!」という風に感じます。なんと言っても、安土桃山時代は、今から400年以上も前ですし、江戸時代後半の浮世絵の時代から、さらに150年から200年さかのぼります。最近メトロポリタン美術館で見た、作者不明のハッカチョウというムクドリの一種の群が描かれた屏風は、織田信長や豊臣秀吉の桃山時代、あるいは江戸時代の初期のものと考えられています。古い時代の作られたものでありながら、デザイン的には全く古さを感じない構図の作品です。描かれているものは、鳥のみというシンプルさが好きです。

叭々鳥図屏風/Mynah Birds Screens

叭々鳥図屏風/Mynah Birds Screens

この屏風は対になった二枚で、一つ一つが縦155センチ 横361センチあります。折った形で展示されていても横が5メートル以上ある大きなものです。桃山時代や江戸時代には、どこかの武士やお金持ちの家に飾られていたのでしょうか。誰にしろ作成者は、何百年もたった際に、ニューヨークの美術館で展示されることになるとは、思いもしていなかったしょう。16世紀後半から17世紀の初頭と言えば、アメリカ独立はまだまだ先の話、ヨーロッパによる北アメリカの植民地化が始まった頃のことです。現在ニューヨークと呼ばれている場所が、ニューヨークと呼ばれる前の話です。

こちらが、それぞれの屏風の写真です。

叭々鳥図屏風/Mynah Birds Screen 1

叭々鳥図屏風/Mynah Birds Screen 1

叭々鳥図屏風/Mynah Birds Screen 2

叭々鳥図屏風/Mynah Birds Screen 2

ハッカチョウ(叭々鳥)の屏風

ハッカチョウというのは、どんな鳥なんだろうと思って調べてみたのですが、ハハチョウと呼ばれることもあり、元々は中国や東南アジアに分布する鳥で、日本には、自然にはいなかったようです。それでは、なぜ、ハッカチョウの大群が屏風に描かれているのかというと、この鳥は、中国で吉祥鳥(幸運を呼ぶ鳥)として、描かれることが多く、それが日本のアーティストに伝わって来たようです。ムクドリ科で、九官鳥と仲間ということで、昔、祖父が飼っていた九官鳥を思い出しました。この屏風の、ハッカチョウは、ちょっと意地悪っぽい顔つきなので、幸運を呼ぶ鳥っていう感じではないですが。それでも、よく見ると、笑いをさそう、ひょうきんな顔つきです。

この屏風の楽しいところは、それぞれの鳥の表情です。群をなして飛んでいる鳥たちと、それを下から見上げる一群。食べ物でもあるのか、一心不乱に、地面をつついているものなど、人間社会を象徴するような、色々なハッカチョウが描かれているのです。

この屏風を描いたアーティストは、ハッカチョウがペットとして飼われているのは、見たことがあったかもしれませんが、自然に群をなして飛んでいるのは、見たことがなかったでしょう。他の種類の鳥の群れを参考に描かれたのでしょうか。

桃山時代の美術は、狩野派などの豪華絢爛なものが有名です。このハッカチョウの屏風も、色あせてはいますけれど、美術館の表示を確認すると、金が貼られているとのことです。作られた当時は、かなりピカピカ光る屏風だったのでしょうか。今の、あせた感じが、ひょうきんな鳥の表情を強調する感じで好きです。

ということで、本日は作者知らずの、安土桃山あるいは江戸時代初期に作成された、叭々鳥図屏風 /Mynah Birds (early 17th Century) について書いてみました。

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